BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

死ぬほどの愛、殺すほどの憎しみ。

「どんな芝居が好きですか?」と聞かれると、多種多様なタイプの芝居が好きだからどう答えるか途方に暮れてしまうけど、「どの劇団が好きですか?」と聞かれれば、僕は迷わず答えることが出来る。

ひとつは、僕の生まれ故郷「北区つかこうへい劇団」。そして、いまや演劇ファンで知らない人はいないであろう「劇団桟敷童子」である。

2年半前に参加したワークショップで桟敷童子の看板俳優池下重大くんと知り合いになり初めて桟敷童子の芝居を見た。すみだパークスタジオでやっていた「可愛い千里眼」という作品だった。

僕たちのDNAの中に確かに組み込まれていると思えるどこか懐かしい民話風の世界。悲しい物語の中にこそ浮き彫りになってくる人々の生に対する強いエネルギー。劇団員たちが自ら数週間かけて仕込むと言われる毒々しく生々しい美しいセット。魂を鷲づかみにし、防御する余裕もないままに異次元へと連れ去ってしまうケレン味溢れる演出。そして、開演前から終演後に至るまで何よりも客を大切にしようとする劇団員たちの透明で美しい精神。僕はすっかりヤラれてしまった。

この劇団のファンの多くが恐らくそうであるように、僕は完全に完璧に「桟敷童子中毒患者」になってしまったのである。そして今回「血の婚礼」でその桟敷童子の看板女優である板垣桃子さんと共演する幸福に出会えた。

モモちゃんは、舞台で見るのと同じように、ワイルドで力強く、そして繊細で透明な人だ。本当に素敵で、愛すべき魅力にあふれる人だ。本人はきっと意識していないと思うが、彼女と一緒にいるとその強烈なオーラにみんなが引きつけられていくのが分かる。そのくらい強烈な「匂い」をもった、女優さんであり、人間なのだ。まだ彼女を知らない人は、今回の「血の婚礼」そして桟敷童子の舞台でその姿を目の当たりにしてもらいたいと思う。

なんだかここんとこ毎日同じようなことばかり書いているけど、ほんとに、こういう人たちと一緒にいられることは幸せなことだ。

あ、今日北区つかこうへい劇団の「売春捜査官」見てきました。これまたほんとに、すごい作品でした。黒谷さんの狂いっぷり、期待以上ですごかった!同期のへんみやすぎやんも大健闘だった!ほんと、力になります。