BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

今の稽古場では、芝居に関わるいろんなテーマについてみんなでディスカッションをしたり、役になりきってフリートークをしてみて、芝居に書かれていないシーンを即興で作ってみたりする。これが実におもしろい。それぞれの個性が分かって、お互いを知るいい機会にもなる。話が脱線して、単なる告白大会みたいになることもあるけれど。

昨日は「衝動」ということについてディスカッションをしたあと、3人の登場人物で、書かれている劇とは違うエンディングを即興で作ってみた。詳しい内容は割愛するけれど、このエキササイズの中でぼくは役を演じていたはずなのに、役の人物でなく、ぼく自身がかなり深く傷ついてしまうという経験をした。今でもそのときのことを思い出すと胸が震えてしまう。(それこそが究極な意味で「演技する」ってことなのだろうが)

そこで分かったことは、ぼくは、「嘘」というものに対して過剰なまでの拒絶反応をもっているということだ。「嘘をつく」のもキライ。「嘘をつかれる」のはもっとキライ。真実がたとえどんなに自分をまたは相手を傷つけることであっても、「嘘」によってそれを隠すことの方がもっと罪が重いと感じるのだ。

だから、特に大切な人に対して、ぼくは「嘘をつかない」ことを誓いあい、約束したい。その儀式を通過したら、あとはもう信用して疑わない。真実がどれほど過酷であっても、「疑う」という無限地獄からは逃れられる。その方がぼくにとってはまだラクなことなのだ。そしてぼくにとって最悪なのは、誓って、約束して、信じたのに、それが破られること。その裏切りを前にすると、ぼくの身体には抑えきれない「衝動」が走る。もしかしたらそれが、犯罪につながる可能性だってあるのかもしれない。そんなことが、稽古のちょっとした遊びで分かってしまった。

ああ、思い出すだけでもツライです。みなさん、どうかぼくに嘘をつかないでください。