BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

年輪

今日は、「ビルマの竪琴」でお世話になった加藤土代子さんの舞台を見に行ってきた。作品は、ジェフリー・アーチャー原作の法廷物「真実のゆくえ」。

俳優座劇場プロデュースで、文学座の西川さんの演出で、新劇系の劇団の役者さんが顔をそろえた、「THE新劇」的な舞台。正直、失礼ながら、そんなに期待しないで見に行ったのだが、休憩はさんで2時間半、ほとんど飽きることなく見ることが出来た。とても面白かったし、老優たちの存在感に圧倒された。

とくに、土代子さん。
ぼくの倍以上の人生経験をもち、ぼくが生まれる前から女優さんをやってる土代子さん。ビルマのモノ売り婆さんの役も素晴らしかったが、今回の舞台もほんとに素晴らしかった。確固たる技術と、豊富な人生経験と、奥深い人間性と、舞台にかける情熱と誠実さが滲み出ていて、心を打たれた。

以前、ご飯をごちそうしてもらったときに言われた言葉が忘れられない。

「あなたたちみたいな若い人は、上手く演じようなんて思わなくていいの。わたしたちみたいに長くやってたって上手くなんてやれないんだから、あなたたちが上手くやれるわけないの(笑)。そんなこと考えずに、ただ素直に自分でいなさい。演じてるあなたがどんな人なのか伝われば、それでいいのよ」

その言葉をいつまでも胸に刻んで、ぼくも、土代子さんの年齢に追いつくまで役者でいつづけたい。