BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

忍耐

「ぼくは役者が舞台上でひたすら耐え忍んでる姿を観たいんです」と、とある演出家に言われたことが、ぼくの演劇人生のひとつの転機になったといっても過言ではない。

激情はドラマチックで、役者にそれなりのカタルシスを与える。当然そのことで感情は揺れ動く。でも、でも、それを観ていても心は動かない。と、ぼくは思う。

キツイ状況の中で、行き場がなくて、苦しくて、でも誰かに向かわなければならなくなったときについ一瞬垣間見える激情こそが、何か心を動かすものになるように思う。

お葬式の喪主挨拶とか、結婚式の新婦の父親の挨拶とか、あれこそがぼくの理想の演劇。