去寅来卯
2010年、充実した年だった。叶えられなかった夢も、達成出来なかった目標も、残されたたくさんの課題ももちろんあるが、運にも人にも恵まれた1年だったと思う。
簡単に振り返る。
2010年は7本の舞台に関わった。
7ヶ所の劇場。
6本の新作と、1本の古典。
3つの新しい団体、3つのホームグラウンド。
●2月:reset-N『青』@ザ・スズナリ
初スズナリ。というより初下北沢。初日開くまではどうなることやらハラハラだったが、終わってみれば忘れがたい大好きな作品になった。ぼくが演じた「深井啓輔」という役は、たぶんいつまでも忘れられない役になる。いまだにふと彼のことを考えることがある。もっとたくさんの人たちに観てもらいたかった。
●3月:TFactory『大市民』@吉祥寺シアター
念願だった川村さんの作品。台本を読んだときの衝撃はすごかった。全身真っ白、サタデーナイトフィーバーのような衣裳。そしてタキシード。おとなしめ・暗めの役が多いぼくにとって、あの能天気でクネクネした「演出家」の役は衝撃だった。あんな役どころを書いてくださった川村さんに大感謝。
●6月:乞局『裂躯』@笹塚ファクトリー
おなじみの乞局、おなじみの笹塚。風変わりなチラシ、風変わりなセット。そして、風変わりな物語。自分とかけ離れた役だったこともありとにかく大変だった。みかちゃん・さのくんという気心知れた2人と作ったラスト・シーンは大好きなシーン。
●8月:TPT『かもめ』@不忍池水上音楽堂
2年ぶりのTPT、初の野外劇場、初チェーホフ。とにかく暑かった。TPTはぼくのおうちだ。戻るべき場所。あの空間で、あの作品を、あの役をやれたことはものすごく大きな経験になった。美しいセットも忘れられない。
●10月:箱庭円舞曲『気付かない奴は最強』@駅前劇場
昨年の今ごろは存在すら知らなかった。古川くんを初め、劇団員の誰も知らなかった。
そんな劇団に呼ばれて出ることがあるなんて。出会えた運命にとにかく感謝。あんなかっこいい悪役をやったのは初めてで、とにかく楽しかったなー。
●11月:ACF『中庭にリング』@シアター風姿花伝
これまたおなじみのACF、そして風姿花伝。悪役といってよい役どころが続いたのが不思議。ほんとに嫌なヤツだったけどかわいそうなヤツだった。一生懸命生きて幸せになりたかっただけだ。あんなに喜怒哀楽の激しい役をやったのは初めてで、とにかく大変だった。
●12月:乞局『忠臣蔵フェア』@川崎市アートセンター
年末のお祭り感充分でほんとに楽しかった。バカバカしい作品だったけどやりがいあって。ここでもまた悪役だったな。参加してた他団体の作品も見応えがあって、たくさんの刺激をもらえた。
その他にも、初めて自主映画に参加したり、ちょっとしたPVみたいなものに参加したり。芝居もその合間にたぶん70本ぐらいは観た。ワークショップ的なものに参加したりもした。プライベートでもいろんなことがあった。とにかくいろんな人に出会えたことが一番嬉しい。
と、2010年を振り返っている間に年をまたいでしまった。あけましておめでとうございます。2011年も引き続き精進します。力を貸してください。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
井上裕朗