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BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

荒野にて

ご挨拶

箱庭円舞曲第十六楽章『珍しい凡人』が終わった。劇団の構成員になって初めての公演。多くの方々に観て頂けた。まずはそのことに心から感謝です。ありがとうございました。

前回のブログにも書いたことだけれど、今年に入ってしばらくの充電期間の中で、僕自身の中で大きな変化が起こっていた。一個人としての変化もそこにあったであろうし、もっと狭い意味で、芝居に対する意識の変化が確実にあった。今まで認めたくない、認められないと思っていた感覚を認めなければいけないと思えたというか、認めていこうと思いはじめたというか。その新しい感覚を自分に根づかせるために時間を使っていた。今回の公演は待ちに待った、それを実際に試す機会だった。

その意味では、今回、作品にも役にも恵まれたのだと思う。自分がチャレンジしたかったことを試しやすかった。途中何度もぶれたりくじけたりわからなくなったりしながらも、本番でもそのことにチャレンジしつづけられたと思う。端からみれば全然変わってないように見えるかもしれないけれども、今回の演技へのアプローチはいままでとは全然違っていて、それを追求することは僕にとってとても不安で勇気のいることだった。結果はどうあれ、今回それを追求しつづけられたことが、僕にとってとてもとても大きな収穫となった。

ただそれと同時に、自分の嗜好が以前よりはっきりしたことによって、それが多くの人たちと相容れないかもしれないという、大きな孤独感を感じることにもつながった。また、ひとつの壁を壊そうとしたことによって、今までは見えなかった(または見ないようにしていた)新たな巨大な壁が僕の前にたちはだかっていることにも気づいてしまい、それに対する恐怖や絶望も同時に襲ってきてしまった。公演の疲れもあいまって、心身ともに苦しい毎日を送っている。

いまは同志たちの存在だけが頼りだ。僕の新たなチャレンジを見届けてくれて見抜いてくれて評価してくれた。この荒野のどこかで彼らも孤独な闘いをしていることがわかるからこそ、僕も闘う意志を持ち続けられる。そのありがたさを今回の公演で思い知った。

近い将来どこかでみんなで落ちあおう。その約束を励みに、また闘いをはじめようと思う。