BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

ひとやすみ

昨年6月にほんの出来心から始めたactors’ playground、慌ただしく1年が過ぎた。僕が中心となってやった遊び場が6回、他の方にお願いした遊び場が3回、1ヶ月に渡るリハーサル+劇場公演が1回。直感と勢いに任せて駆け抜けた1年だった。

「俳優が自立した存在になる」という大言壮語を掲げて、この1年間、100人を超える俳優たちと密度の濃い時間を過ごしてきた。多くのかけがえのない出会いがあり、その中で劇的で感動的な瞬間がいくつも生まれた。それは、僕だけでなくそこに一緒にいた俳優たちに大きな影響を及ぼしたと思う。少なくとも僕は、ひとりの俳優として、その時間の中でたくさんのものを手に入れることができたようだ。いま関わっている作品の稽古場で劇場で、自分の明らかな変化を感じることがあり、自分でも驚いている。参加した俳優の何人かは、この遊び場と出会ったことを契機に、具体的な行動を起こしている。ここでの出会いが縁となって、同じ志をもった仲間としての付き合いが続いたりもしているらしい。参加した俳優はもとより、多くの人のサポートのもとで、僕ひとりの手の届く範囲を超えて、想定した範囲を超えて、見えない広がりを見せている。とても嬉しい。

ただそれと同時に、あまりにも急激に事を進めてしまったせいで、そして何より僕自身の力不足のせいで、数々の問題や矛盾や混乱も生じてしまった。そして僕自身がそれに疲弊し、絶望もした。特に、強引に実現してしまった劇場公演においてそのことが顕著に表れた。公演を通じて実現できたものは限りなく、やったこと自体になにひとつ後悔はないし、本当にやってよかったと思っている。ただそれと同時に、そこで見つかった(または生じた)問題や矛盾や混乱をそのままにして続けるわけにはいかない。この遊び場は、劇団でもなく、公演を目標とするプロデュースユニットでもない。コンセプトや理想のようなものだけが原動力であり、人を結びつける力となるものだ。そこが揺らいでしまった以上、そのままの形で続けていくわけにはいかない。大言壮語を掲げて劇場公演までやったのにカッコ悪いことこの上ないが、ここで一旦足を止めて、改めて態勢を整えて再出発しようと思う。1月の時点で既にそうすべきだとわかっていたのだが、ここへ来てようやく決意できた。いま関わっている現場がいろんな意味で刺激的・理想的な現場であり、そこで過ごす日々に大きく影響されたところが大きい。前向きな決断だ。

この遊び場は、何より僕にとって必要なものであるし、僕が心からやりたいと思うことでもある。偉そうなことを言えば、道なきところに何かしらの道を拓きたい。僕自身が混乱と絶望から抜け出して、今後の進むべき方向を見つけたら、また仲間たちに集まってもらって活動を再開したい。そのためにしばらくいろんな人から意見を聞き、力を借り、考え抜きたいと思う。極端なことを言えば、僕自身の企画として存続する必要もなく、あらゆる可能性を考慮にいれて考えてみようと思う。幸いなことに僕のまわりには、柔軟な思考と広い視野をもった面白い人たちがたくさんいるので、ひとまずの答えが出るまでにそれほどの時間はかからないだろう。明確な答えのない問いに対していろいろな人と思考を巡らせる過程は、きっととても有意義なものになると思う。しばらくはそういう時間を作って力を蓄えたい。