BLue CaFe NeT

by HiRoo iNoue || ACTOR

actors' playground 雑感

先日、actors' playground 11thを終えた。通し番号に入らないものを加えると、16回目の企画だった。回を重ねるごとに僕自身学ぶことがあり、悩みながら改良を加えて今に至っている。

 

俳優がワークショップ的なものをやることについて、さまざまな意見がある。僕がこの企画を始めたとき、驚くべきことに、俳優たちよりも、プロデューサーや演出家の人たちから、この企画を応援してくれる声をもらった。とても力強かった。

 

でも回を重ねるごとに、それは俳優の自己満足だ、観客を疎外している、自己啓発で信者を集めて悦に入っている、などの声も聞こえてくる。

 

俳優たちは、戯曲の登場人物たちを背負って声を発しなければいけない職業である。演劇というものは多かれ少なかれ、声を失った人たちの声を救い上げる芸術であろうと思う。でも実際の演劇界は、それ以外の世界以上に、旧態依然としていて、特に弱い立場に立たされた俳優たちは声を失っている。その俳優たちが、自分たちの声を取り戻そうと、あちこちでもがき苦しみながら、なんとか一歩を踏み出そうとしている。その葛藤に対し、近しい立場の人たちが、俳優の自己満足であるとか、自己啓発にすぎないなどと批判的な目で眺めているのは、どこまでも悲しいことでしかない。

 

それは僕自身の人望・人徳の結果なのかも知れないが、僕はそんなにバカではないし、何よりこの場に参加してくれている俳優たちの想いは、そんなに軽く、浅いものではない。

 

僕たちは、もっと純粋に、もっと先の理想を追い求めている。弱きものたちをいじめることはとても簡単で、その正しさに酔いしれることも理解は出来るけれど、でもどうか、この弱き俳優たちが理想を追い求めることに対し、声を発しようともがくことに対し、大局に立って、理解し受け入れてくれることを願うばかりだ。僕たちはそんなにバカじゃない。

 

そんなことを改めて思わされるような、みなが苦しみ抜いた今回の遊び場だった。誰も自己満足で終わってなんかいない。